太平山神社 神社社殿の修復

豪雨被害を受けた〝あの日〟を振り返る

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記憶に新しい昨年(平成27年)9月の関東・東北豪雨

関東北部を中心に500ミリ以上の猛烈な雨を記録し、栃木県全域に大雨特別警報が発令されました。下流域の茨城県では常総市付近で鬼怒川の堤防が決壊。広範囲が水没したほか、栃木県においても県南地域を中心に広範囲にわたって浸水被害を受けています。太平山神社でも過日の大雨で裏山の土砂が崩れ、本殿と拝殿の一部が被害を受けました。幸いにも土砂を防ぐ防災壁が前年に完成していたため大きな被害は免れましたが、流れ出た一部の土砂によって本殿が傾くなど、早急な修復工事が必要でした。「太平山神社災害復興事業」は多くの地元企業や関係団体・個人が思いを一つにして取り組んだ事業です。地元・栃木市で多数の登録有形文化財の改修・修復に携わってきた大兵工務店は、最も重要な神社社殿の修復を担当。長年培った技術力とノウハウを生かし、地域の象徴に新たな命を吹き込みました。

棟梁の引き出しが導く解決策

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過日の大雨で神社裏山の土砂が崩れ、明治時代半ばに建立された本殿と拝殿に被害が及びました。こうした歴史的建造物の復旧には一般的な土木工事とは一線を画す、伝統的な宮大工の技術が欠かせません。例えば仕口・継手や隅木など、複雑に組み合う接合部や曲線を再現・施工しなければならないからです。

これまでに多くの登録有形文化財の改修・修復に携わってきた経験を生かし、神社社殿の修復に取り組んだわけですが、当初、課題となっていたのが材料の調達でした。木材は製材前に十分に乾燥させておかなければならず、加えて修復に必要な長さ・太さを兼ね備えていなければなりません。神社仏閣に使われる木材であればなおのこと、高い品質と品格が求められます。

倉庫に眠っていたヒノキの銘木。その出自に感じた歴史の偶然

さまざまなルートを通じて探し当てた木材は、同じ栃木市内の老舗木材店の倉庫に長らく眠っていたものでした。樹齢400年以上とされる立派なヒノキの大木でしたが、木肌が真っ黒で製材してみないと使えるかどうかわかりません。

興味を引いたのはヒノキの出自です。随分と前の話ですが、昭和34年(1959年)に伊勢湾台風が本州を直撃。甚大な被害を及ぼしましたが、そのとき倒れた太平山のヒノキだったのです。およそ60年の時を経て、今回の修復でその大木が使われるとは……。1本のヒノキの出自に歴史の偶然と運命を感じざるを得ません。

このヒノキの大木を再びよみがえらせたい……。そんな思いを胸にカンナで削ったところ、節も少なくきめの細かい銘木でした。材料が限られていたためムダにできる部分は一切なく、図面通りに1本の木をすべて使い尽くしました。

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長い年月を経て予期せぬ出来事をきっかけに、地場の木が神社に里帰りしたわけですが、過去と現在をつないだ一連の過程に、職人の一人として関われたことを誇りに思います。

地域の人々の協力によって災害から復興した太平山神社は、これからも地域の象徴として多くの人々の心を支え続けていくはずです。

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